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大人気iOSアプリメーカー物書堂の恐るべきバージョンアップ姿勢とは

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大人気iOSアプリメーカー物書堂の恐るべきバージョンアップ姿勢とは

本日2014年9月24日、物書堂の辞書アプリ「ウィズダム英和・和英辞典」がバージョンアップしました。

今回のバージョンアップは iOS 8対応と、iPhone 6/iPhone Plus のHD ディスプレイ対応が目玉です!

「ウィズダム英和・和英辞典」がリリースされたのは2008年7月のこと。iPhone 3Gの発売の時であり、App Storeがオープンした当初のタイトルの1つでした。 以来6年間、物書堂は無償でバージョンアップをし続けています。その数、なんと22回目!

この物書堂のバージョンアップ姿勢はソフトウェア業界の常識を越えています。「ウィズダム英和・和英辞典」は今回でVersion 4.1だとのこと。

App Storeのアプリは、In-App Purchase があるものの、基本は買い切りです。

だから購入したユーザは、購入時から本日まで、バージョンアップをずっと無償で得られたことになります。はっきりいってこれは常識破りの事態です。

ソフトウェア業界のライセンス料は保守料を伴う

ここでソフトウェア業界の雄「SAP」を例にとりましょう。SAPはソフトウェアのライセンスを販売する会社です。 SAPとお客さんはソフトウェアのライセンス契約を交わします。お客さんは代金を支払ってSAPのソフトウェアを利用することができます。

たとえばお客さんの会社が1000人いて、1000人分のソフトウェアライセンスが必要だとします。1人あたり1万円のライセンス料が必要であると見積もられたばあい、1000万円(=1000人 x 1万円)のライセンス料がかかります。

さて、このライセンス料とはべつに保守サポート料金というものがあります。ライセンス契約を交わしたあと、ソフトウェアはバージョンアップが提供されたりします。

また、分からないこと・困ったことが発生したら電話やメールでサポートセンターに連絡して解決してもらうこともあるでしょう。これを保守サポートとよびます。

さてSAPの場合、年間保守料率がライセンス料の22%とされているそうです。

さきの例でいうと

  • ライセンス料金・・・1000万円
  • 年間保守料金・・・220万円

となります。

なかには「サポートいらん、バージョンアップいらん」といって、年間保守料金を断る会社もあるかもしれませんが、基本的にライセンス料金と年間保守料金はセットで契約書に書かれています。

SAPは企業向けのソフトウェアですが、一般消費者向けのソフトウェアも料金回収のモデルは似たようなものです。

バージョンがあがるたびにその都度別アプリとして販売されるアプリもなかにはあります。別アプリは別途料金がかかります。

なかには「無料でバージョンアップしろ!」というお客さんもいらっしゃるかもしれません。その気持ちは私もよく分かります。

ただ、AppleのiOSの進化にあわせてアプリもまた対応させていくには、やはりリソース、すなわち人・時間・カネが必要です。1回の落としきりのアプリ料金だけではどうしても賄いきれないという状況もあります。

アプリメーカーの「なかのひと」も食っていかなくてはならず、また家族を食わせてやらなくてはならないのです。だからバージョンアップの別アプリは料金を別途徴収します。

業界の常識に反し、物書堂はバージョンアップを無償で提供

ところが物書堂はその処女作「ウィズダム英和・和英辞典」を6年間、ただひたすらに無償でバージョンアップし続けています。

そして私も6年間ずっと使い続けています。追加費用なしに。これはすごいことですよ!

2008年7月からこの2014年まで 旧iPhone OS、現iOS は非常におおきなうねりの中進化してきました。スクリーンサイズは3.5インチから4.0インチのRetinaディスプレイ。いまではRetina HD ディスプレイなるものまででてきました。

さらにiPhoneだけではなく、9.7インチのiPad 版もでてきました。 アイコンの解像度をかえたり、フラットデザイン風のアイコンにしたり、iCloudに対応したりなど、Appleはさまざまな要求をiOSデベロッパーに突きつけてきました。

これまでの6年間、けっして平坦ではなかった開発の歴史を歩んできた物書堂は今日も無償で「ウィズダム英和・和英辞典」をバージョンアップしました。

(なお「ウィズダム英和・和英辞典」には第2版の「ウィズダム英和・和英辞典2」がありますが、これは別アプリという扱いです。「ウィズダム英和・和英辞典」はいまだに販売されています。)

なぜ物書堂はバージョンアップを無償で提供をするのか

物書堂のアプリは、バージョンアップは無料です。わざわざヒト・ジカン・カネというリソースを使ってAppleのiOSの進化につきあっているのに、物書堂はなぜユーザから別途徴収しないのでしょうか。

無償提供の理由 その1

ひとつの理由は物書堂のアプリが大ヒットしたということがあげられます。1年前の数字ではありますが、2008年から2013年の間、物書堂のアプリは累計で70万本近く販売されたという実績があります。 物書堂のアプリはひとつ100円のアプリではなく、数千円するような高価なものが中心です。それが70万本販売したということで、開発のリソースに余裕があります。

無償提供の理由 その2

しかし無償提供の理由はそれだけではありません。物書堂のアプリ販売にはひとつの哲学、姿勢があります。

物書堂の代表取締役・廣瀬さんは、次のように述べています。

「最初は創業メンバー2人だけだった物書堂ですが、今では社員2名を追加した4人で開発をしています。これまでにリリースしたアプリは30を超えていますが、そのほとんどを最新のiOSでも動作するようにメンテナンスしてきました。 価格が高いので、悩みに悩んで購入を決意される方も多くいらっしゃいます。そういう方にも価格以上のメリットを感じていただけるように、改良も続けています。 」 物書堂の5年間 〜 App Store 5周年によせて | iPhone | 物書堂

なかには「アプリベンダーがアップデート費用を取らないなんてどうかしている!」と考える人もいるでしょう。

しかし物書堂は違います。「高額なアプリを買ってくださったお客様をガッカリさせたくない! ガッカリさせるよりも製品の素晴らしさでお客さんの心を捉え続けたい!」これが物書堂の恐るべき姿勢です。

物書堂のアプリをオススメするのは、そのサポート姿勢ゆえだ

iOSデバイスを購入して、「なにか素敵なアプリはないかしら」とお考えのiPhoneユーザがいらっしゃると思います。

そういう方に私はまず物書堂のアプリをオススメします。物書堂のアプリはちょっと高価だけれど製品の質は高いです。ダウンロードして「なんだこれ」と1分後に削除するようなことがありません。iPhoneらしくアプリが作られています。

物書堂はアプリを買ってくれたお客さんに対し将来にわたってキチンとサポートしてくれます。だからお金を払う価値があるのです。

私のiPhone 6 Plus には物書堂のアプリが7つはいっています。

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2020年4月30日
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