はじめに
この記事は、iOSなどApple製品の機能である「集中モード」についての記事の第2弾です。
集中モードをまだ使っていない方に向けた第1弾は「導入編」として、通知を制限することのメリットと、その背景にあるAppleの設計思想をお伝えしました。

ここでお伝えしたかったのは、次のことです。
① Appleの設計思想としての「集中を妨げない体験」
複雑化するスマホ社会において、かつての「おやすみモード」だけでは対処しきれない現代の危機的な状況があります。「おやすみモード」が「集中モード」へと進化しなければならない理由がここにあります。
② 集中モードを「日常のインフラ」として捉えるべきという提案
「集中モード」は単なる付加機能、「あれば便利」というものではありません。必須機能であるとさえ言えます。私たちの時間の使い方は、この「集中モード」を基盤にすべきだということです。
③ 注意散漫の軽減・生産性・ウェルビーイングの向上
「集中モード」を利用して、私たちが勤労者・学生として、より良い労働や学習を行う必要があります。その結果、より良いアウトプットを出し、実りのある、充実した日々を送ることができます。
今回は一歩進んで、集中モードを日常生活の中で自在に使いこなすためのカスタマイズ方法をご紹介します。
前回の記事ではほとんど触れなかった「高度なカスタマイズ性と自動化機能」を取り上げ、アップルの優れたソフトウェア技術についてご紹介します。
集中モードは、私たちの生活に合わせて設計できる「環境づくりの道具」です。
本記事をぜひ一緒に楽しく作っていきましょう!
ステップ1:自分の1日を「集中ブロック」で分けてみる
まずは、以下のように1日を大まかにブロックに分けてみましょう。例えばこのような時間の使い方が考えられます。
サラリーマン男性Aさんの1日(平日)
- 朝の身支度と移動(6:00〜9:00)
- 会社での仕事(9:00〜12:00 / 13:00〜17:00)
- 休憩・昼食(12:00〜13:00)
- 帰宅後のフィットネス時間(18:00〜19:00)
- 食事など(19:00〜21:00)
- 就寝準備と睡眠(21:00〜翌朝)
おそらく1日をこのブロックごとに分けることができるのではないでしょうか。ちょっと紙にでも、ざっくりと書いてみていただきたいのです。
ここで、各ブロックで、必要な通知、必要なアプリは異なるはずです。
例えば就寝中に、YouTubeの新着通知などはいらないのです。
ただたとえ就寝中であっても、家族からのメッセージ通知は欲しいでしょう。「必要」とは、そのような意味です。
各ブロックで「これはいるだろう」「これはいらないな」とぼんやりとイメージしてみてください。
ステップ2:シーンごとに集中モードを設計する
ここからは具体的にカスタマイズを行います。まずは「”睡眠”集中モード」から始めていきましょう。睡眠モードは第1弾の記事で設定済みのはず。設定していなくてもここで追加しておきましょう。

中には「睡眠に集中するっておかしな話だな。自然と眠くなった時に寝れればいいよ。集中なんておかしいよ」とお考えの方もいるかもしれません。
しかし、ここでは「良質な睡眠は集中しなければ得られないのが現代社会である」と私は強調したいと思います。
余計や通知は切り、しっかり寝て明日に備えなければ、パフォーマンスは発揮できません。
■ “睡眠”集中モードのおすすめ設定
■ 基本情報
・インテリジェントブレークスルー ❌オフ

スケジュール:例えば就寝準備今夜22:00〜起床時刻明日6:00、就寝準備15分 *ヘルスケアプリと連携することを推奨
■ 通知許可の設定
許可する人 家族(リストから選びます。)・医療関係(もし必要なら)
繰り返しの着信を許可 ✅オン(3分以内に2回着信があれば通知)
許可するアプリ なし(緊急速報を除く)

■ 画面をカスタマイズ
- ロック画面 睡眠モード専用のダークな壁紙推奨
- ホーム画面 ”睡眠”集中モード用に新規ページを作成(iOSが作ってくれる画面を選ぶと簡単)
- Apple Watchをお持ちの方は、睡眠用の文字盤を選ぶといい。おすすめはミッキーマウス。暗い部屋で時間を読み上げてくれる。

オプションの睡眠用画面・時刻を表示はオン
毎晩同じ時間に「画面が静かになる」ことで、入眠の習慣化につながります。
わたしたちが意図を持って行動することをできるだけ避け、自動化します。
続いて、フィットネスのための集中モードを設定しましょう。
散歩をしたり、自転車をしたり、ジムで筋トレをしたり定期的に行っている人はおすすめです。
■ “フィットネス”集中モードのおすすめ設定
■ 基本情報
・インテリジェントブレークスルー ❌オフ
スケジュール:例えば「ワークアウトを開始した時」、または「ジムに到着した時(位置情報連動)」にモードが切り替わるように設定できます。
毎日自転車に乗るときに、Apple Watchのワークアウトアプリを起動するとフィットネスモードになります。
■ 通知許可の設定
- 許可する人 家族(リストから選びます。)・医療関係(もし必要なら)
- 繰り返しの着信を許可 ✅オン(3分以内に2回着信があれば通知)
- 許可するアプリ なし(緊急速報を除く)
■ 画面をカスタマイズ
- ロック画面 iOSの作成する壁紙推奨
- ホーム画面 ”フィットネス”集中モード用に新規ページを作成(iOSが作ってくれる画面を選ぶと簡単)
- Apple Watchをお持ちの方は、フィットネス専用文字盤を選ぶといい。おすすめはNike。

■ スケジュールを設定
- デフォルトでは、ワークアウトがオンになっている。
- ジムに通っている人は、スケジュールを設定しよう。例えば場所で「ジムに到着した時」を設定する。そこに到着した時、自動的に”フィットネス”集中モードに切り替わる。

■ “仕事”集中モード、”パーソナル”集中モードを設定する
上記で”睡眠”集中モードと”フィットネス”集中モードを設定しました。この通り、”仕事”集中モード、”パーソナル”集中モードを設定していきます。
重要な考え方は、「その時間に何に集中したいか」を書き出してみることです。そして「それ以外は一切排除する」と考えます。これがすべての集中モードに通じる基本思想です。
こうやって、場面場面で邪魔されない時間を確保していくのです。
■ 基本情報
・インテリジェントブレークスルー ❌オフ
■ 通知許可の設定
許可する人 家族や緊急連絡先のみ
許可するアプリ 音楽、リマインダーなど必要最低限
■ 集中モードフィルタの設定
“仕事”集中モードを設定する場合、以下の設定が有効です。
- Safariのプロファイルを仕事用にする(Safariでの仕事用のプロファイルをあらかじめ作っておくと良い。
- メールは、ビジネス用のメールアカウントをオンにする。
“パーソナル”集中モードを設定する場合、上記の仕事関連が目に入らないように設定する。
上記のようにして、場面場面における目に入る情報を切り分けしていく。
ステップ3:ホーム画面とロック画面を切り替える
集中モードでは、ホーム画面とロック画面をモードごとに切り替えることが可能です。
これは強力な機能です。同時に楽しい機能でもあります。ぜひ切り替えたいところです。
私からの提案です。このような画面にしてはどうでしょうか。
- 朝のモードは「予定確認・天気中心の画面。ウィジェットを多め」
- 勉強中は「誘惑のない画面」
- 夜は「リラックス用の壁紙(色数の少ない)とミニマムな構成」
集中すべき対象以外は見えない=誘惑されない設計が可能です。この考え方は、一貫して大事ですから、ぜひ各集中モード用にそれぞれ最適なホーム画面を作ることに時間を割いてください。
アプリはアプリライブラリに必ずあります。ホーム画面にアプリを全て置かなくても大丈夫です。
アプリはたくさんインストールして構いませんが、本当に使うものだけを厳選してホームに置いてください。
ステップ4:自動化で“考えなくていい集中”をつくる
すでに述べたとおり、集中モードは「いつオンにするか」を自動化できます。(オートメーション)
- 時間:曜日・時間帯に応じた切り替え(例:平日9:00から17:00までは”仕事”集中モードにするなど)
- 場所:自宅・ジム・会社などに到着したときに自動切替
- アプリ:ZoomやGoogle Meetを起動したら自動で”会議”集中モードに
「意識しなくても最適な環境に切り替わる」こと。これこそが、集中モードの真骨頂であり、わたしたちが最も得たい美味しい部分です。
まとめ:集中モードは“自分のために働くiPhone”を作り上げる
集中モードをカスタマイズすることで、iPhoneは通知の発信源から「自分の集中を支える存在」へと変わります。
このステップを通じて、ぜひご自身だけの「集中設計」を完成させてください。これには時間がかかります。しかし、そのリターンはあります。
次回第三弾はさらに進んで、「集中モードを習慣化し、環境と行動をリンクさせる高度な戦略編」をお届けします。お楽しみに!