本記事では iPhone の初期設定について述べます。
iPhone を購入すると、その初期設定はユーザにとって最適な状態で提供されています。
Appleは膨大な数のiOSユーザを世界中に抱えています。極めて広範な顧客からの要求に応えるべく、みんなにとって使いやすい設定を初期設定としています。
同時に初期設定は、使いやすさだけではなく、便利さや効率の良さ、セキュリティを踏まえたものとなっています。バッテリーのパフォーマンスを最大化することにもつながります。
多くのiPhone ユーザにとってパフォーマンスと安定性を両立させるのが初期設定であると考えています。
目次
私が iPhone を工場出荷状態にしばしば戻すワケ
私はiPhoneを工場出荷状態にしばしば戻しています。とくに iOS のバージョンが上がった時は、かならずリセットして、初期化しています。
初期化した後、私は iPhone を好みの設定にしていくのですが、同時にAppleの初期設定も確認しているのです。
Appleは iOS のバージョンを上げると、初期設定を変えることがあります。
もしかしたら iPhone を古くからお使いのユーザのかたは、古い設定をずっと引き継いでいらっしゃるかもしれません。
我が国にiPhone が登場してから16年が経ちました。私たちの社会は激変しております。時代に応じ、iPhone の設定もまた変化しております。
Appleが初期設定としてどのようにチューニングしているかを確認するのは私にとって楽しいことですし、また重要なことだと認識しています。
iPhone の初期設定のメリット
最初に、iPhoneの初期設定のメリットからお話しします。
初期設定は多くの人にとって使いやすいものになっている
iPhone を買って使い始めたとき、設定をゴリゴリ変更する必要はありません。これはAppleの美学・哲学に反します。
特に初めて iPhone に触れるような方は、iPhone をAppleが提供する状態で使い続けるのがいいと思います。
Appleの美しくて、わかりやすいインターフェース及び設定は、ユーザの要求にできるだけこたえる形で提供されているからです。
Apple ID を設定するのも初期設定の一つです。もしApple ID をお持ちでなければ、@icloud.comのメールアドレスを新規で作りましょう。簡単に無料で作れます。
icloud.comのメールアドレスを持つことで、iPhone が便利に使えます。
iCloudアカウントを取得して、iCloudを使い始めるのも iPhone の標準的な利用方法です。
初期設定ではセキュリティが考慮されている
iPhone を使う上で、最も大事なことのひとつはセキュリティです。
iPhoneには極めて強固なセキュリティ機能が備わっています。セットアップの途中で6桁のパスコードを入力するように促されます。Face IDやTouch IDを使うよう誘導されます。これらはきちんと設定すべきです。
なかにはパスコードを設定しないという「過激」な人もいます。でも、それは間違いです。大切な個人情報・機密情報を扱うiPhoneであるからこそ、きちんと6桁のパスコードを利用すべきです。
昔のiPhoneは4桁のパスコードが標準でしたが、今の時代、4桁はお勧めできません。まさか4桁で iPhone を利用されていませんか?
初期設定ではバッテリーを伸ばすように設定されている。
iPhoneの使用感に最も大きな影響を与えるものの一つが、バッテリーです。
このバッテリーは、特に画面の明るさが影響します。iPhone の初期状態では、画面が閉じるまでの時間を「30秒」としています。
「30秒」は多くの人にとって最適な時間といえます。
Face IDを搭載した端末であれば、「1分」以上に設定する理由は全くありません。顔を見せればさっとアンロックされます。
なかには「2分」や「3分」などを設定する人もいるかもしれませんが、Touch IDを搭載した iPhone を、自宅など完全に安全な場所で利用する状況のみにおいて許されるのではないでしょうか。
カスタマイズするとよくない箇所がある
上記で、初期設定の利点について述べました。
Appleが提供している最新のiOS 17は、それがサポートする新しいハードウェアに最適化された初期設定がなされています。
いっぽう、その初期設定は「大多数の人にとって」という前提がついております。その「大多数」が実は半々だったりすることもあるでしょう。
そんな場合は、ユーザは個人の好みに応じてカスタマイズできます。このカスタマイズ性も iPhone の魅力の一つです。
ただ「カスタマイズが常にいいことだ」と手放しに呼べない状況もあると私は強く感じています。
たとえばカスタマイズについて、次のような問題が挙げられます。
- iPhoneのパフォーマンスが低下することがある
初期設定では、iPhone のパフォーマンスが最大化するように設定されています。一部の設定を行うと、パフォーマンスが低下することもあります。
上記で述べたように、バッテリー性能を犠牲にしかねない設定もあります。これでは iPhone 体験を損ないます。 - iPhoneが複雑になることがある
大多数のユーザにとって、最善と考えられる設定がなされています。これを変更することで、ユーザ自身の設定になります。ただ、このことはiPhoneが複雑になってしまうことも意味します。
iPhone を使っていて困ったことがあった時、誰かにサポートを依頼しようと思った時うまく解消できないことがあり得ます。特にアクセシビリティの深い階層にある設定を利用していると、本当にわかりづらくなってしまいます。
特に「アクセシビリティ」や「プライバシーとセキュリティ>位置情報サービス>システムサービス」を設定変更は、ほどほどにしておいた方がいいと私自身の経験を通じて感じています。
「アクセシビリティ」や「システムサービス」を変更しようという人がいます。
これらを変更することを全否定するつもりはないのですが、同時にデメリットもある設定項目群だろうと私は考えております。
初期設定とアプリとの相性
iPhone のアプリが正しく動作するためには、初期設定のままであることを前提にしているものがあります。
状況としては多くはないですが、ユーザが触ることをあまり想定していない設定をいじると、相性が悪くなって不具合のように見えてしまうことがあります。
すべきではない設定変更の一例
私は iPhone を iPhone 3G の発売時から利用しています。もう16年近く、iPhoneとお付き合いしていることになります。
iPhone 3GやiPhone 4の頃に有効とされていたようなベストプラクティスが、いまではバッドノウハウとして扱うべきものとなっていることもあります。
たとえば、「タスクキル」です。iPhone に搭載されたメモリが限られていたころの名残なのでしょう。iPhoneのメモリを空にすることがバッテリー性能を伸ばすことに寄与するという考えがかつてはあり、さかんにタスクキルをしていましたが、いまでは否定されています。
Appleのサポート文書から抜粋します。
2024年の iPhone にとってタスクキルは全く不要な動作です。かえってパフォーマンスに悪影響です。
これと同じように、iPhoneのバッテリー残量を表示させる設定変更も不要といえます。
現在販売されている、iPhone ではバッテリーが十分な性能を有しており、残量を常時表示する意味がありません。
いわんや、大容量バッテリーを搭載した Pro Max 機種、Plus 機種においては、これらはバッテリーがなくなることをほとんど心配する必要がありません。
iPhoneのバッテリー残量を表示させるべき状況は、古いiPhoneでバッテリーが「サービス」と表示されている、疲労困憊の iPhone を使う時だけ、ではないでしょうか。
2009年や10年ごろ、みな必死にiPhoneのバッテリーを気にしていました。「モバイルブースター」も持ち歩いていました。
でも現在の iPhone では、バッテリー残量を常時気にする必要はもはや全くないです。こんな瑣末のことを気にするのは全く無駄です。足りなくなったら、充電すればいいだけです。
おそらくは、iPhoneのオールドファンほど、過去の慣習で常時表示させているかもしれません。でも、もう知識をアップデートすべきタイミングです。
どんどんカスタマイズすべき設定とは
以上のように述べてきましたが、誤解しないでください。Appleによる iPhone の初期設定を金科玉条のように扱うべきだとはまったく考えておりません。否、変更すべきは変更すべきです。
キーボードを変更する
たとえば文字入力は変更すべき箇所です。AppleはUSの会社ですので、英語入力を行う人向けに初期設定されています。
この記事をお読みの方は、おそらくは日本語が母語の方が多いはず。OSも日本語環境でお使いでしょう。日本語を快適に打てるように、積極的にカスタマイズ変更すべきです。
私はフリック入力が慣れておりますので、フリック入力を「フリックのみ」にしております。慣れていない方は、英字キーボードでのローマ字入力や、昔懐かしい「ベル打ち」でしょう。
英語入力を行う人向けにとっては有益な設定がオンになっていますが、英語をまぁまぁ程度にしか入力できない日本語話者にとっては、大文字強制やら予測やらスペルチェックやらは、鬱陶しい設定に感じられるでしょう。これらはオフにした方が都合がいいです。
私ならこう変更します。
すべてのキーボード
スマート句読点 はオフにする。
かな入力
フリックのみ はオンにする
スマート全角スペース はオフにする
英語
自動大文字入力 はオフにする
予測テキスト はオフにする
スペルチェック はオフにする
カメラを変更する
さらにたとえば、カメラについては、構図の「グリッド」と「水平」については、初期状態でオフになっています。
これらは「オン」にすべきだと私は考えています。その方がいい写真が撮れます。
Appleが初期状態でオフにしている理由はわかります。普通に写真を撮りたい人には邪魔だからです。
しかし「グリッド」と「水平」がある方が、私にとっては優れた写真が撮れます。
このような初期設定の変更は、ガンガン行っていただいて全くかまいません。ユーザの生産性を上げ、より楽しくなるためにカスタマイズしていきましょう。
結論
以上、iPhoneの初期設定についてお伝えしました。
iPhoneの初期設定は、多くのユーザーのニーズを満たすよう設計されています。使いやすさ・セキュリティ・パフォーマンスをバランスがとれた形でを提供します。
インターネットを見ていますと、ブロガーやYouTuberが iPhone の設定変更をおすすめしています。目を引く内容ではありますが、実際にそれほど使い勝手がよくなるかは微妙です。
設定変更を行う際はその意味をよく考えて行うべきです。特にアクセシビリティやプライバシの変更は要注意です。
ただし、初期設定を変更してカスタマイズすることで快適にiPhoneを使用することができる個所があります。たとえば日本語入力のためのキーボードの設定やカメラです。
最終的には、個々のユーザーが自分のニーズに最も適した選択をすることが重要です。とはいえ、そもそも個人が皆、最適な行動を取れるかなんて怪しいです。
だから、Apple の考える初期設定を知ることは、強力な出発点となります。
古くから iOS をお使いのユーザほど、2024年のいま Appleが iOS を通じて伝えたい価値観はなんなのか、初期設定から感じ取ってほしいと思います。
メインでお使いの iPhone をいじるのはちょっと難しいと思います。可能なら、最新の iOS が動く端末を一つ入手して、サブとして触ってみてください。そしていじくりまわしてみてください。
きっと大きな気づきがあると思います。iPhone がさらに楽しくなりますよ!