2013年5月20日に発売された「デジタルカメラマガジン 6月号」に、「リコーGR スペシャル対談 田中希美男 X 野口智弘」が掲載されています。
そのなかでペンタックスリコーイメージング株式会社マーケティング統括部 副統括部長の野口さんがGXRについて言及している箇所があります。
田中 いままでのGR DIGITALは1/1.8型とか1/1.7型の小さなイメージセンサーを使ってきましたが、新GRはいきなりAPS-Cサイズになりました。大きなセンサーを採用したのはどんな理由だったのですか。
野口 GR DIGITALの初代ユーザーからずっと要望されていたことは、暗いところでの画質の向上でした。毎回改善してきているのですが、高感度にもっと強くなればという思いは強くありました。
田中 それを解決するためにはセンサーサイズを大きくするしかないわけだ。
野口 センサーサイズを大きくするというのが宿命というかそんな感じでした。
田中 センサーサイズはすんなりとAPS-Cサイズにするって決まったんですか。
野口 全部検討しました。世の中にあるすべてのサイズで実現する検討をして。
田中 フォーサーズもフルサイズも1インチもあったのですか。
野口 フルサイズですか……最初はあったかもしれないけど早めに落ちちゃった感じ(笑)。GXRのAPS-Cサイズのユニットをすでに出していますので、その経験からAPS-Cはいけそうだという見込みもありましたね。あれがあったのでGRをどこまで小さくできるかもシミュレーションできました。あのユニットのイメージセンサーにGRと同じ短射出瞳型のセンサーを使ったというのもすごく技術的にはいい経験になっていて、あのセンサーを使ったらどこまでレンズをなかに入れられるかということもわかりました。
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今回リコーがGRを販売するにあたって気になっていることがあります。それはGXRの存在です。私はGXRの大ファン。とくに A12 と銘打たれたユニットが好きです。
いま高級コンパクトカメラがブームになっています。とくに大きいセンサーを搭載したカメラが市場から受け入れられています。
この先鞭をつけたのはシグマでしたが、リコーもまた先駆者でした。GXRは2009年12月のリリースですが、このとき発売されたレンズユニットGR LENS A12 50mm F2.5 MACRO(カメラユニット)が素晴らしかったのです。
このカメラユニットは、その当時大人気だったニコンD300, D90と同じセンサーを搭載しているといわれています。GXR + A12 50mmは、コンパクトにまとまっていながら、その描写力は一眼レフカメラと同等かそれ以上です。
さらにA12 50mmはマクロ機能を搭載。最短撮影距離はレンズ先端から約7cmですから、かなり寄れます。リコーはマクロが面白い。
いまでこそコンパクトカメラでありながら大型のセンサーを搭載した機種がいくつかのメーカーからリリースされ、話題となっています。ソニーのRX1, X100、ニコンのクールピックスA、富士フィルムのX100/X100S、シグマDPシリーズ、キヤノンのG1 Xなどです。
しかしリコーは3年半も前に大型センサーをコンパクト機で実現していたのです。
そして翌年の2010年11月、A12シリーズの第二弾GR LENS A12 28mm F2.5をリリース。50mmが飛び出しているのに対し、28mm は十分こぶりです。そして50mmと同様、A12 28mmもAPS-Cらしい素晴らしい写りをしてくれます。最短撮影距離はレンズ先端から約20cmです。
私はそんなGXR A12 シリーズを大変気に入っております。コンパクトでありながらいい画質の写真を撮れるカメラがあるのだと、GXRに触れてやっとわかったのです。
GXRにユニットをひとつだけつけて、脇に抱えて散歩するのがどれだけ軽快なことか。軽いということ、コンパクトであるということには、とても重要な価値があると気がつきました。
しかしながらGXRは2012年3月のA16の発売からばったりと音沙汰がなくなってしまいました。もともとスローなペースでユニットが出されていたのですが、さすがに1年以上もなにもニュースがないというのはやはり寂しいものです。
ところが今回GRがAPS-Cのセンサーを搭載して、リニューアルされるという。私はすぐにGXRとの関係を考えました。A12 28mmとかぶってしまうのではないか。
さきの雑誌の対談で、野口さんの「あのユニットのイメージセンサーにGRと同じ短射出瞳型のセンサーを使ったというのもすごく技術的にはいい経験になっていて、あのセンサーを使ったらどこまでレンズをなかに入れられるかということもわかりました」ということばを読み、GXRユーザである私はますます GR に関心が高まりました。
美しい描写をしてくれるGXR + A12 28mmの技術が、2013年、レンズ固定式コンパクトカメラの小さなボディに収まっているという事実に驚きを感じます。はやく自分の手でじっくり触って、それを確認してみたいと考えています。