Appleが2015年10月1日(日本時間)、OS X El Capitanをリリースしました。
この新しいMac用OSは、ルックスはほぼ前OSと同等ながら、中身は改善されています。
たとえば iMac 5K Retinaディスプレイモデルではミッションコントロールが驚くほど高速になりました。
また私は、日本語入力方法にライブ入力が採用され、日本語変換が大きく改善されたのを喜ばしく思っています。
OS X El Capitanをインストールする二つの方法
この新しいOS「OS X El Capitan」は Mac App Storeから無料でダウンロードできます。
このOS X El Capitanをインストールするには2つの方法があります。1つは上書きインストールする方法。ダウンロードしたアイコンをクリックしていけばあっという間にインストールが完了します。
もう1つの方法はクリーンインストールする方法です。このクリーンインストールする方法は、インストールするドライブのデータをすべて消してしまいますから、めんどくさい作業です。下手をするとデータが全部吹っ飛んでしまう、などということになってしまいます。多少危険であり、慎重さを要します。
なかには、「クリーンインストールは過去Macが未成熟だったころの名残であり、「儀式」のようなものである。精神安定剤以上の意味はない。もはや不要だよ」と考える人もいます。
Mac OS X のクリーンインストールはほんとうに不要でしょうか? 私自身は、クリーンインストールは依然として必要であると考えています。
クリーンインストールで過去の設定を断ち切る
クリーンインストールを実施する第一のメリットは、OSを初期化することで、前OSまでの設定を引き継がないことがあげられます。
新しいOSはとかくトラブルが起こりがちです。そんなとき、OS側の問題なのか、アプリ側の問題なのか、ユーザ側の環境の問題なのか、問題を切り分ける必要が出てくるでしょう。
クリーンインストールを実施しておけば、Appleが現在標準だと考えている設定を確認することができ、トラブルシュートのたすけとなることがあります。
クリーンインストールで不要アプリを一掃する
第二に、クリーンインストールすることで、いらないアプリを根こそぎ消すメリットあります。これは1番目よりももっと重要です。
先週、「Adobe Flash Player」に深刻な脆弱性が見つかりました。以下はIPAからの引用です。
この脆弱性を悪用された場合、アプリケーションプログラムが異常終了したり、攻撃者によってパソコンが制御されたりして、様々な被害が発生する可能性があります。
なお、修正プログラムの公開は2015年10月19日週中と、同社より報告されています。
既に、当該脆弱性を悪用した攻撃が確認されているとの情報があるため、標的型攻撃のリスクが懸念される組織においては、修正プログラムが公開されるまで一時的にAdobe Flash Playerのアンインストールや無効化などの緩和策を実施して下さい。
Adobe Flash Player の脆弱性対策について(APSA15-05)(CVE-2015-7645)
Adobe Flash Player はユーザにとってとんでもない問題を引き起こすアプリですから、インストールは控えるべきです。過去においても、そして将来においてもインストールしてはいけないアプリの筆頭です。
しかし、しらずしらずのうちにAdobe Flash Playerをインストールしてしまったという例も散見されます。
またほかのアプリの例として「Google Chrome」があげられます。「Google Chrome」はMacのバッテリー性能に大きく影響を与えるアプリです。Google はこの問題をすでに認識しており、改善に取り組んでいます。
Chrome for Mac now more resource efficient, lighter on battery consumption
改善されるまで、私たちはGoogle Chrome ではなくSafariを使うべきです。
このように、クリーンインストールを行うことで、「Adobe Flash Player」や「Google Chrome」を一気に私たちのOS環境から排除できます。
Macにはクリーンインストールが必要だ
以上、Mac OS X のクリーンインストールは必要性について述べました。過去の設定を断ち切ることで、問題の切り分けに役立つこと。不要なアプリを一掃できることのメリットがあると私は考えております。
Mac OS Xには便利なサードパーティ製アプリがたくさんあります。しかし、なかにはへんな挙動を示すものもあります。「Adobe Flash Player」には重大な脆弱性がありますから、インストールしてはいけません。
私は「Adobe Flash Player」のみならず、Adobe社のアプリの品質に疑問を抱いております。Appleの写真管理アプリ「Aperture 3」の開発が中止されたため、私はAdobe Lightroomを使うようになりましたが、最近の「Lightroom CC(2015) 2.1/6.2」にかんするトラブルを見るにつけ、「Adobeは本当に消費者のほうを向いている企業なのだろうか」という疑問が依然として拭えません。
重要なことは、ユーザが本当に必要でかつ安全なアプリだけを選んでMacにインストールすること。Mac OS Xはすでに便利なアプリを多数内包しております。これらの活用を考えるのが望ましいです。
当サイトもサードパーティのアプリを紹介していますが、本当に必要なもの、最低限のもの(たとえば「Microsoft Office for Mac 2016」など)を記事にしておりますし、今後もそのようにしたいと考えております。
ユーザが安定してコンピュータを使える環境を維持することがもっとも大切です。それを実現するため、OSのクリーンインストールは有効な手法であります。