いま日本で最もかっこいい男はだれであろうか?
私は数学者の秋山仁をあげたい。御年66歳の数学者である。東京理科大学教授/理数教育研究センター長を務めている。
秋山先生はロンゲにひげ。バンダナ。このスタイルを何十年もやってきている。世間で言うところの「イケメン」の基準から大きく逸脱している。とてもじゃないが、かっこいいとはいえない。
ところがである。秋山先生は実にいい顔をしているのである。
秋山先生は好きな数学に生涯没頭し、好きなアコーディオンを北海道ニセコにまで習いにいく。そして彼女は由美かおるである。あの由美かおるが彼女! さらには一緒にコンサートまでする。こんなにラッキーな御仁はいないと思われる。
数学に打ち込み、音楽を愛し、美人の彼女とともに時間を過ごす。何と素敵な66歳の男性であろうか。
秋山先生の落ちこぼれ人生
私が高校生のとき、秋山仁先生が私の通う高校に講演に来られて、直接お話を伺う機会に恵まれた。20年近く前の話だ。
秋山先生は自分の落ちこぼれだった人生を紹介してくれた。
秋山先生は東京出身。都立高校では当時「都立西高」が優秀で、東京大学への合格者数が全国上位にあった。
秋山先生は必死でがんばったが都立西の高校入試に落っこちてしまった。
進学した高校では対数のlogを10g(10グラム)と呼ぶ有様。大学も大学院も入試は不本意な結果に終わった。
大学院をでたあと、秋山先生はアフリカのガーナにいった。ガーナで葬式によばれたところ、その土地の風習を断ってしまった(日本人にはできない風習)。そのけっか「あいつは何だ」と後ろ指をさされることとなった。
恩師フランク・ハラリー先生のドケチぶり
そして出会ったのがミシガン大学のフランク・ハラリー先生。とても厳しい先生で、1日1本論文を書けという。その厳しい指導に秋山先生はしがみついていったそうだ。
秋山先生によると、フランク・ハラリー先生は徹底したドケチだった。秋山先生がミシガンの空港に降り立ったとき、ハラリー先生が自ら車を運転して迎えにきてくれたが、それがとんでもなくボロボロの車だった。
たまにフランク・ハラリー先生から秋山先生にプレゼントだよといって渡されたのが、何かと思えば「ハンバーガーの無料クーポン券」。これが素なのが恐ろしい。
ハラリー先生からの思いがけないプレゼント
2年間の勉強の末、ハラリー先生が秋山先生を解雇することになった。「研究室とアパートの鍵を返すように」って言われ、しかたがなく返しに行ったところ、秘書が「先生は今出張中です。けれどあなたにお手紙を預かっています」と述べた。
また無料クーポンかとおもって開けてみると分厚い手紙と航空券がはいっていた。ハラリー先生の手紙にはこう記されていた。
「お前は2年間、がんばった。一緒に共同研究して論文を作ったじゃないか。だからアメリカの数学界にお前をデビューさせてやるために、秘書に命じて、これから34州でのツアースケジュールを与える」。
(大学受験浪人速報 ろーろぐ。 引用)
フランク・ハラリー先生は非常に厳しい先生であったが、弟子の秋山先生の学会デビューにあたっては最大限を配慮をしたのだった!
数学者秋山仁の師匠に学ぶ、生きたカネの使い方
フランク・ハラリー先生は無駄だと思ったことにたいしては徹底的に出費を抑えた。ハンバーガーの無料クーポンを周りの人にプレゼントして渡すようなことをしていた。しかし自分のやりたいことには惜しみなく投資をしたのだった。弟子のデビューにはふんだんにお金を使った。
自分がこれと決めたことにトコトン投資する。その他些末なことにはビタ一文使わない。これがロマンを求める男の姿であり、私は生きたカネの使い方なんじゃないかと思う。