日経産業新聞の記事です。「台湾HTC「最後の挑戦」」という記事が掲載されていました。(7月31日、第3面)
記事の要旨は次の通りです。
・HTCが業績低迷が長引いている。
・2013年4-6月期決算は7四半期連続の減収減益。
・4月に発売したフラグシップ「HTC One」の売れ行きが鈍い。
・サムスンとAppleの「2強」に加え、中国メーカーなど新興勢力にもシェアを浸食されている。
・Facebookと共同で発売した「HTC First」は全く売れず、数ヶ月で販売終了。幹部の辞職も相次いでいる。
この記事はHTCの不振を伝えています。日本ではとくに「J蝶」という愛称で親しまれている「HTC J バタフライ」が人気を呼びましたが、それでもなおかつてのような盛り上がりには至ってはいません。
このような悪い状況を打開するため、HTCは新戦略として、広告を展開し知名度やブランド価値の向上を狙っています。また新興国市場向けに、画面サイズの小さい「HTC One mini」を9月より発売し、通常モデルより2-3割下げるそうです。
世界のスマートフォン市場では、サムスンとAppleの2社が牛耳っていると行ってもいい状況ですが、この2社においてもじつはそれほど安泰としていられるわけではないようです。
サムスンにおいては、フラグシップ「ギャラクシーS4」の販売台数が予測よりも下回ったと報じられ、「株式時価総額も約1カ月で13%超減少し、約31兆ウォン(約2兆7000億円)が消失してしまった。」そうです。
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たほう、AppleのiPhone については、第3四半期である4~6月期において3124万台が販売されました。前年同期から20%増加し、第3四半期として過去最高となりました。とはいえ、iPhone シリーズは販売からすでに6年が経過しており、製品として成熟期に入っています。iOS 7 でガラっと変わるものの、iPhone 5 の後継機種も全く新しい性能が期待されています。
しかし、全く新しい性能と一口に言っても普通はそんなに出せるものではありません。iPhone 4 における「Retina display」のような革新的な機能はポンポン出せるわけではないです。
HTCの戦略としては、「HTC One mini」という廉価モデルを新興国向けの需要を満たすために発売しますが、私はAppleもまたHTCと同じような狙いがあると思います。中国やインド等、iPhone が富裕層にしか普及していない国々でも iPhone シリーズを展開する必要が望まれています。
このような背景からAppleが iPhone 5の廉価モデル、iPhone 5C(?)をリリースするのは必然であろうと思われます。iPhone 5C(?)は新興国で新たな需要を創出するでしょう。
いまサムスンとAppleの2社と言われています。しかしことAndroidに関して言えば、結局のところガワとCPUさえ用意すれば新規参入が容易な分野です。とくに中国系企業などは低価格、中価格なスマホをロシアや中東などで展開しています。私自身はこのような低価格、中価格スマホがますますシェアを取るだろうと思います。
上の記事「台湾HTC「最後の挑戦」」では結びとして「今年巻き返せなければ、事業売却などの検討に乗り出す可能性がある」とのべ、HTCにとり大変厳しい指摘となっていますが、私はこのことはAppleにも言えると思います。Appleが iPhone 5の廉価モデルを出すか、実際のところはわかりませんが、その可能性は高いと言えましょう。もしiPhone 5C(?)なるものが出るとしたら、いったいどういう理由付けで出てくるのか。iPhone 5 との関係はどうなるのか(カニバリゼーションは起こるのか?)。グロスマージン率が低下するであろうことをAppleはどう捉えるのか。大変気になります。