Appleの9月のスペシャルイベントを機に、Apple系ブログ「田園Mac」がブログを1年ぶりに再開しています。現在、以下の3本のエントリーが投稿されています。
Appleによる最高の製品は、言葉と絵でできている。 | 田園Mac
ついに出た、”One more thing…” | 田園Mac
ブログ「田園Mac」には、筆者zackyさんの卓越した語学力と冷静な筆致による魅力あふれる、Appleにまつわるエントリーが満載で、Appleファン必見です。ぜひともRSS登録されることをお勧めします。
さて今回のエントリー3本のひとつ、「ジョブズへの、そして我々へのメッセージ」では、Appleのイメージビデオ “Perspective” について解説されています。
zackyさんは次のように分析しています。
よく見てみると、今回のメッセージで違ったのは、文言のすべてが不特定多数の人間に向けられてはいないということでした。
“you” はもちろん、不特定多数の「あなたがた」を意味しますが、5番目の文のyouだけは「あなたがた」ではなく、「あなた」を意味する。なぜか。5番目と6番目の2文だけ、過去形の動詞が使われています。
「ものごとを変える方法が分かる前にすでに、わたしたちがものごとを変えられるということを、あなたは疑わなかった。そしてわたしたちはそれを成し遂げた。一緒に」
この “you” だけは、ジョブズを意味する。でも、その他の “you” は、このメッセージを聞くわれわれすべてのことを意味しうるし、そうした目で見てみると、われわれを意味する “you” に、ジョブズのことを言っているように見えるものも、ある。
田園Mac「ジョブズへの、そして我々へのメッセージ」より引用
ジョブズさんは2011年に逝去されました。その直前にAppleのCEOにティム・クックが就任。以来3年が経過しました。
この3年間はクック氏にとり濃密な時間だったと思います。経営史上、人類史上に巨星として名を残したとんでもないカリスマ、ジョブズの後任として、クックCEOは文字通り奮闘してきました。
そして3年後のこの9月のスペシャルイベントでは、ついに「Apple Watch」という新カテゴリのジャンルを創出するにいたりました。産みの苦しみがあったことは想像に難くありません。
ジョブズさんが生前、どれだけApple Watchに関わっていたかは分かりません。おそらくAppleのロードマップの一部にウェアラブルデバイスは入っていたとは思います。けれど、Apple Watchという具体的なかたちにまでは至っていなかったであろうと私は想像します。
Apple WatchはクックCEOのリーダーシップ体制のもと作られた新生Appleのプロダクトであると私は考えています。その名称がiWatchではなくApple Watchであるのも、その現れだと私は理解しています。「i」製品以上のものをAppleは作り出したいのであるに違いありません。
けれど、Appleは依然としてジョブズの影響下にあるのだと思います。ジョブズ氏のものづくりに込められた魂はいまだAppleのDNAとして生き続けています。
なかにはこのように言う人がいます。
「ジョブズ氏が生きていればこうしただろう」
しかし、このように言う人もいます。
「いやいや、ジョブズ氏が生きていればこうしなかっただろう」
その葛藤と相克は、クックCEO体制のAppleに依然としてにじみ出ています。これは宿命です。
当サイトの読者の皆様におかれましては、ぜひ「田園Mac」さんをご覧いただくともに、Appleのイメージビデオ “Perspective” を通して、iPhone 6/iPhone 6 PlusやApple Watchという、私たちが手に取って感じ取れる製品という具象面の背後にある考えかたや価値、意義を感じていただければと思います。それはより良いApple製品理解につながると考えるからです。