日経ビジネス「2013年11月18号 スマホ第二幕」に「iPhone 5cの誤算 近づき賞味期限」という記事が掲載されています。
この記事の要旨は次の通り。
AppleはiPhone 5s/5cを発売後3日間で合計900万台超を販売したが、社内で変化が起きつつある。Apple社ではデザイン部門に代わり部品調達部門が強大な権限を握るようになった。Appleが前機種iPhone 5よりも現在、部品メーカーにコスト削減を大幅に要求しているのは、ラインナップ増加に伴い在庫リスクが発生したためである。Appleは5sに比べて手頃な5cをまず日本・中国に回したが、日本では5cが敬遠された。これは5sとの価格差がないためである。価格差をつけられない理由はAppleがiPhone 5の在庫を多く抱えているからであろう。
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今年9月、iPhone 5c は華々しくデビューしました。しかし発売当初から「売れない」という声が常にささやかれていました。発売日からキャッシュバックを出す店舗もありました。iPhone 5sがいまだに入手難であるのと対照的です。
iPhone 5cの性能は iPhone 5 とほとんど一緒です。au においては対応するLTEの周波数帯バンドが増えたということがありますが、着目すべき点はこれぐらいです。あとは新規に作られたプラスチック筐体でしょうか。とにかくiPhone 5cはiPhone 5の焼き直しといってなんら差し支えありません。
私はiPhone 5cの発売後すぐにiPhone 5cのイエローに機種変更しましたが、たぶん私のようなひとはあまり多くありません。「Touch ID、Apple A7、コプロセッサなどの最新機能がない廉価版iPhoneなど、誰がほしがる?」という世間の冷たい視線をiPhone 5cは浴びせ続けられています。
過去2ヶ月の現状認識は上記のようなものです。
いったいどのようにしたらiPhone 5cは人気を呼べるのでしょうか? 結局のところ価格なのだろうと思います。MNP一括0円、キャッシュバック付きは当たり前として、機種変更の料金を半額にするなどの思い切った施策が考えられます。「iPhone 5cと同じような価格なら、(少々高くても)5sを選ぶわ」という消費者を振り向かせるのは、現状では困難です。
ところでiPhone 5cに対する私の意見ですが、私はこの製品にたいしてとても満足しています。このプラスチック製のiPhone をAppleの大胆な意欲作であると私自身は受け止めています。
iPhone 5c には、初代MacBookブラックモデル 、iPod Hi-Fi、初代MacBook Air、初代Apple TV、iPod shuffle 第三世代などに共通するなにかを感じます。もしかしたら世間はこれらのAppleの製品を「失敗作」と呼ぶかもしれません。しかし私はまったく逆です。私は 初代MacBookブラックモデル、iPod Hi-Fi、初代MacBook Air、初代Apple TV、iPod shuffle 第三世代、そしてiPhone 5cが大・大・大好きなのです。
(スティーブ・ジョブズ氏とiPod Hi-Fi)
iPhone 5c は非常に優れたデザインです。従来の安っぽいイメージのプラスチックを、手にしっくりとなじむような大胆な形でAppleは消費者に送り出しました。インダストリアルデザインにおける形態の変更は本質的です。私はこの優れたデザインをAppleファンは実際に手に取ってみて、感じてみるべきだと思います。買うか買わないかは別にして。私はホワイトをもう1つ欲しいぐらいとさえ思っています。
いまやお通夜のような状況のiPhone 5cですが、せめてA7を搭載していたら、違った販売成績を残せたのかもしれません。iPhone 5cの後継に新しいモバイルシーンの未来を感じたいです。来年に期待します。