ペンタックスリコーが新しく発売するコンパクトデジタルカメラ「GR」のカタログが、まるで写真集のようなのです。
この「GR」のカタログは家電量販店やカメラ屋さんで入手できます。すでにご覧になった方も多いかもしれません。
これは表紙。強烈な黒い手。そして黒いGR。写真家・操上和美さんの手です。
写真家・操上和美
1936年北海道生まれ。1961年東京綜合写真専門学校卒業。1965年よりフリーランス。写真家の活動にフィルムワークを取り入れ、新たな領域を創りあげて、後塵に道をひらいた先駆者。日本の広告史に残るすぐれたCMやスチールを数々制作しつづけ、常に最前線を駆け抜けている。被写体の本質にせまる鋭いアプローチが可能にする独自の美意識に貫かれたアートワークは、時代を超えて多くのファンを魅了している。
本カタログには、操上さんがニューヨークにてGRで撮影した写真が掲載されています。雨のタイムズスクエアや公園の木々、街角。摩天楼。
これ、カメラのカタログなのに、カメラの写真は表紙のあとは全然でてこないんです。11ページ目にしてやっとGRがでてきたw
カメラは小さく最後の2,3ページにのみ掲載されています。
社会との対峙が写真の本質であり、
芸術はその結果に過ぎない。
画質もレスポンスも、撮り手の意図に反応するための手段だ。
カメラは脇役でいい。優れた道具とは、使い手の意図に呼応するように、
常に快適なフィードバックをするもの。
その結果、使い手と同化し、かけがえのない相棒となる。
リコーからの強烈なメッセージです。
カタログなのに「カメラは脇役でいい。」とかいっちゃって・・・笑
でも、これはメーカーがカッコつけてそういっているのではないと思います。メーカーは本当にそう思っているのでしょう。
このリコーのメッセージは、2010年のリコーの広告を想起させます。
「退屈なのは 世の中か、自分か。」
これまた考えさせられる広告であります。
「つまらない、つまらない」と言っている自分がいる。世の中はもっと楽しく、明るく、美しさで満ち満ちているとおもっていたのに・・・。
そして気づく。「つまらない」のは世の中ではなく、自分自身。現状のまま流されている自分であると。
そこでリコーのカメラで、世の中を視てみないか。
そういう広告だと私は理解しました。かなり挑発的ですよね。
先のメッセージは、この広告に連なります。手段は手段。カメラはあくまで従だよ。撮影者であるあなたが主だよ。さぁ、どう社会と向き合い、どう撮影したいんだい? 必要なものはすべてGRのなかに押し込んだよ。あなたの意図は? リコーはそのように問いかけているのだと思います。
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GRのカタログの文章はウェブでも読むことが出来ます。
(リンク)
GR|GR STORY